episode249 末期症状

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「急患が来ないとナースステーションも空になるのかな?」 「まさか」 静かだ。 いくらなんでも静かすぎるのだ。 「空ってことはないだろう。病室の見回りに行ってるのかも」 「全員で?」 不気味な静寂の中にぼんやりと浮かび上がった 薄暗いナースステーションをのぞき込む。 「やっぱり誰もいな……」 僕が言い終わらないうちに 「いや、いる」 「くっ……九条さん!?」 九条さんはカウンターを乗り越えて ナースステーションの中へ飛び込んだ。 そして――。 床に片膝着くようにして 暗闇に倒れていた看護服姿の若い女の子を抱き起した。 「あ、あっちにも!」 目を凝らし見ていると床の上にもう一体 マネキンのように横たわるナースの姿が――。 「どうした?何があった?」 九条さんは抱き起したナースの頬を軽く打ち問いかける。 でも彼女はぐんにゃりして微かな呻き声を洩らしただけだった。
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