80人が本棚に入れています
本棚に追加
それで――思い出す。
「スタンガンだ」
「何?」
「ルカが持ってた。スタンガンで撃たれたんだ」
薫の時とおんなじ反応に
記憶がフラッシュバックして僕はよろめく。
てことは――。
あの吸血鬼もうこの病院を突き止めて
「来てるんだ……」
足が震え崩れ落ちそうな身体を
ナースステーションのカウンターにつかまり何とか立て直した。
「薫っ……!」
しかし珍しいこともあるもので
僕の中でこの瞬間――恐怖心より何より兄弟愛が勝った。
「和樹、待て……!」
それで九条さんが止めるのも聞かず。
薫の病室に向かって
僕は脱兎のごとく駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!