episode249 末期症状

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階段を駆け上がる。 「薫くんの部屋は?」 すぐに九条さんが追いかけてきた。 「この上だよ」 息切れする。 怯えているせいだ。 自分たちの足音が追いかけてくるような錯覚に陥る。 「あっち……!」 薫の病室に向かい廊下を走りだした頃には 九条さんは追いついて僕の隣に並んだ。 それで言うんだ。 「君は行かなくていい――僕が見てくる」 「は?!」 そんなわけにいくか――。 巻き込みたくさえなかったのに。 「……和樹っ!」 僕は知らん顔でスピードを上げた。 彼を危険に晒すわけにはいかない。 何があっても僕が先に病室のドアを開けるんだ。 「ったく……言うことを聞かないな!」 九条さんは本気で怒って なんとか僕を捕まえようとするけれど――。 「ごめんね、でもダメ!」 8つの年の差は大きいんだ。 僕はラストスパートをかけて 先に薫の病室のドアノブを掴んだ。
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