episode249 末期症状

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街灯が照らし出す地面に 僕の想像した最悪なものは存在しなかった。 故意か不意かは分からないけれど 僕はそこに転落した薫の亡骸があるんじゃないかと 心のどこかで恐れていたわけだ。 最悪の事態は免れた。 しかし不自然なことに変わりはない。 現に病院は襲撃され 薫は姿を消してしまっているわけだから――。 「和樹、あれ……!」 その時。 僕とは逆の方――。 つまり天の方を向いていた九条さんが緊迫した声を上げた。 僕は窓から身を乗り出すようにして 彼の指す方を見上げる。 「ウソだろ……」 心底ゾッとした。 黒いローブが風に翻る。 ルカがマネキンのような薫を片腕に抱いて 宙に浮いていたからだ。
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