episode249 末期症状

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「どうなってるの……?」 悪夢のような光景に しばし思考力を断たれた僕は 「よく見ろ。外付けの梯子を登ってる」 「あ……」 九条さんに肩を叩かれてようやく ルカの足元に屋上へ続く細い鉄の階段を見つける。 あいつの身体が宙に浮いて見えたのは 足首まであるローブが時折その梯子を覆い隠すからだ。 魔法は解けた。 しかし不安定なことに変わりはない。 ルカは身動きしない薫を抱いて屋上へ向とかっているのだ。 「あ、ちょっと……!」 話し合う間もなく九条さんが唐突に駆け出した。 なんとしても僕より先に屋上へ上がるつもり――。 「言わなかったか?僕は高校までリレーの選手だったって」 先刻は油断しただけだとばかり サラブレッドめ――僕をからかうように余裕で前を行く。 「高校時代?一体いつの話?僕はつい去年だけれど――」 僕だって負けちゃいない。 意地悪を言いながら階段を一段飛ばしで駆け上がる。
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