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「先生、ありがとうございました。先生に話せたお陰で楽になった気がします……。」
中年のサラリーマン風の男が言う。
「いいえ。楽になったなら良かったです。……あまり思いつめないでくださいね?少しでも辛くなったら、また来てください。」
白衣を着た、小柄な女性が、サラリーマンに言う。
「ありがとう。璃子(りこ)先生。」
サラリーマンは、女性を『璃子先生』と呼び、頭を下げた。
璃子はカウンセラー。
昔から人の気持ちを考えることに長けていて、璃子自身も人の気持ちについて興味を持つようになった。
そして、『心理学』と出会った彼女は大学で心理学を専攻。
そのままカウンセラーの道を選んだ。
患者・相談者が多い日は病院内に12時間以上拘束されることもあるが、璃子はそれでよかった。
人の気持ちを考え、寄り添うことで少しでも自分が役に立てれば。
璃子は、そういう献身的な気持ちで日々の仕事に励んでいたのだ。
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