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居酒屋の可愛らしい制服にギター………。
(………ギター……?)
僕の思考は、その完璧な美人という路線から外れてしまう。
「……あ……あの……」
「いやはや店長!
なかなかの好青年な子だなっ!!」
『ジャーーーンッッ!』
「そうだね高城さん、それじゃあ今日は先輩として湯麻くんを頼むね!」
「オッケーっ!!」
僕の脱線した思考とはべつに、この二人はどんどんと話を続けていく。
僕は冷静でいた。
そう、恐らく深く考えてはいけないのだと悟ったからだ。
なぜここまでの美人な女性が、こんな何処にでもあるような居酒屋でバイトを?
なぜ仕事中に肩からギターをぶら下げているの?
なぜ店長はギターについてツッコまないのか?
そして、なぜ店長にタメ口なのかっ!?
「よっしゃっ、後輩くんっ!!」
「………は、はい……」
「とりあえず私が先輩で、キミが後輩だから」
「はい……」
「そこは白黒ハッキリさせたくてっ!」
「………はい………」
「う~ん……、そうだね……。
なにか私に質問とかある? どういう事をするとか、分からない事とか!!」
「……はい、えっと……」
「うんうんっ!!」
「えっと、……なぜ先輩は、
ギターを持って仕事をしているのですか?」
「やっぱりっ!?」
僕はそんな先輩の反応にも冷静でいる。
(……あ、やっぱりなんだ……)
「気になったっ!? ギターをなんで持ってるか気になった!?」
「はぁ……、まぁ……」
「だよなだよなっ!!?
オッケー、教えてあげるっ!」
「……………。」
僕は思うのであった。
「ギターって、こうやって持ってるとさっ!」
この人は………。
「カッコいいじゃんっ!!!」
──── ポンコツなのだと。
これが、僕とポンコツな可愛い先輩との
初めての出会いであった。
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