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 パンを頬張りながら携帯を開きSNSを眺める。SNSには毎日、毎時間、毎秒、そんな短い頻度で世界中のニュースが更新される。最近よく見るのはテロや国交に関するニュースや意見だ。だがそんなことに興味はなかった。もっと身近なニュース、それがSNSというサービスの真骨頂だと思う。今日もSNSでは馬鹿なことをやって炎上する若者たちを観測することが出来る。あぁ。日本はなんて平和なんだ。遠いアフリカの国では今も紛争でたくさんの人が難民になっている。それに比べて…。  ベーコンは最後まで残す。昔から美味しいもの、好きなものは最後まで残すタチだった。お待ちかねのベーコンを口に運び口の中に広がる幸せを噛み締める。食べることは昔から好きだった。単に好き、という訳ではなく、生きているという実感が堪らなく幸福だった。若い頃はバカでいられたから良かった。ただ与えられたモラトリアムを謳歌していればよかった。大人になってわかること、それを社会に出る前に知りたかったといつも思うのだ。だから炎上する若者を見ても怒りだとか呆れだとか、そんな感情は湧かない。ただ可哀想だと思うのだ。そう言い聞かせて日々をやり過ごす。  「ねぇ。生きる意味を教えてよ。」  「すみません。よく分かりません。」  少し自慢げに皿を片付けながら鼻歌を歌った。
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