マスク越しのキス

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先生「…熱がある時に制服のままだと苦しいだろう、用意してあるパジャマに着替えさせるからゆっくり休むといい」 少年「そうですね…着替えれば少し楽になるかも知れません…」 先生は少年の制服のボタンを外してゆっくりと脱がせていく。 少年の身体は折れそうなくらいに細く、上半身は肋骨が浮き出ていた。 先生は少年の肋骨の部分に指を当ててそっと触れる。 少年「あっ…」 先生「いつ見ても細いな…ちゃんと食事を摂っているか?」 少年「日に寄りますね…元気な時は食事を摂りますが、体調不良の時は食欲が無くて殆ど食べられません」 先生「そうか…食べられない時は仕方無いが身体を強くする為にも栄養は大事だから、食べられる時はなるべくしっかり食べるんだぞ」 先生は少年にパジャマを着せていく。 少年「身体を鍛えたいと思っているのですが運動中に倒れる事が多いせいで体育の授業も殆ど見学で中々上手く鍛えられなくて困っているんです…」 先生「それは仕方ない、君の場合は激しい運動をしては危険だからな…無理をして体調が悪くなったり倒れて意識不明になったりしては大変だ」 少年「こんな自分が情けないです、病弱でもやしで欠陥だらけの出来損ないの人間で…ゴホゴホッゲホッ」 少年は自分のみじめさと悔しさで涙が溢れると同時に苦しくなり激しく咳き込み始めた。 先生「自分の事をそんなに卑下しないでくれ、君はちょっと身体が繊細なだけなんだよ、私が守ってあげるから大丈夫、今はゆっくり休みなさい」 先生はそう言い、咳き込みながら布団にうずくまる少年の背中をさすり頭を優しく撫でた。 少年「先生…」 少年は静かに泣いた。 先生「よしよし…」 少年は先生の手の温もりの中で安堵し徐々に咳と呼吸も落ち着いていった。
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