貧血

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貧血

ガタンゴトンガタンゴトン… 朝、学校へ向かう電車の中で少年は立ち眩みとぐるぐると襲い掛かる酷い眩暈と頭痛に見舞われて立って居られなくなり、その場で倒れた。 少年(ああ…またか…) こういう事はもう何度目だろう、と少年は思った。 倒れた場所が通勤通学ラッシュ時の電車内である以上、周りの乗客に気付かれない事も乗り降りする乗客に踏まれる事も今まで幾度か経験済みなので、最悪の状況になる覚悟はできている。 以前帰宅ラッシュの満員電車内で倒れた時は乗客に一向に気付かれず踏まれてその内意識を失い、目を覚ますと深夜に見知らぬ駅のホームで転がっていてとても怖い思いをした事がある。 何とか意識はあるものの力無く床から動けず、少年は自分の虚弱さと無力さとこの状況に絶望した。 乗客「お兄さん大丈夫ですか?立てないようでしたらどうぞ、座ってください」 近くに座っていた乗客が倒れている少年に気付き、ひょいと抱え上げて座席に運び座らせてくれた。 少年「すみません…ありがとうございます」 眩暈の中で茫然と車内を眺める。 少年(助かった…けど席をゆずらせてしまって申し訳無いな…)
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