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「雪子さん、なんで熱いものを素手で触っちゃったんですか。まだ茶椀に熱残っているのは考えればわかるでしょ。何百回同じミスするんですか」
「触ってしまったものは仕方ないじゃないですか!それに何百回じゃなくて、何千回も生きている間にやっています!」
「それを言ったら、ますます恥ずかしいやつじゃないですか!…やばい、北村さん固まっている」
「…こうすればいいのです」
雪子が溶けた手に息を吹きかけると、溶ける前の綺麗な手に戻っていった。彼女は俺の目の前で、両手を思いっきり合わせた。
「うわぁ!」
「よし!意識を取り戻した」
「自分で驚かせておいて、自慢げに言わないでください。北村さん、すみません。驚かせてしまって」
「…手がと、溶けて…。冷蔵庫で見たのは夢ではなかったということ?…一体どういうことなんですか」
「いえ。改めまして、私は従業員の上杉と言います」
そういえば、きた時にドタバタだったため彼の名前を聞いていなかったことに気づく。上杉は彼女を見て再びため息をつき、言葉を続けた。
「彼女は、立花雪子。…実はここで100年前から日本に住んでいる雪女の生き残りなんです」
「え…」
私は上杉と雪子を交互に見て、またしばらく思考停止した。
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