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銃撃
青い空がどこまでも広がり、そしてふわふわとした白い雲がどこまでも広がる。そんな穏やかな昼下がり。
ボクは一人、草原の上に横になってた。
ボクの名前は、サン・ライト。ライトの方が名前だ。明るくて素敵な名前だと思う。
この名前は、ボクのお母さんがつけてくれたらしいが、顔はよく覚えている。とても、優しそうな人だった。
彼、サン・ライトは、普通の人間ではないと、そう自分を偽っている。彼には、他の人間にはないものがある。ふさふさとした金色の耳と、尻尾。それがひょこひょこと動くことはない。単なる飾りのようだ。
この世界に住まう、獣人。そう、彼は自分のことを偽っている。それには、何の意味もない。ただの個人的な傲慢さだ。
また、彼には他には無い特技がある。
と言うよりも、武器がある。腰の刀。それから、二丁の拳銃と呼ばれる武器。それぞれ、白と黒とで色分けされている。
そんな彼は、穏やかな若葉色のコートを着て、いた。そして、彼を育てたのは、彼が言う師匠である。
元々、彼の師匠と出会ってから、約一年ほどは旅をしていたが、一人ではまだ始まったばかりだった。彼は、自由気ままに旅をしたいと思っている。
そんな時だった。
「うるさいな、何だ」
ボクは顔を上げた。すると、そこには何もおらずただ聞こえるだけだった。
「嫌な、予感がするな」
ボクは走り出していた。
深くフードをかぶり顔を隠して、前へと走る。音のする方へと。
彼はとても優しい。「非常になれない優しさ」の持ち主で、そのままの性格だった。しかし、彼には覚悟というものがあった。
「これは」
目の前にあったのは、戦いだった。
二つの異なる種族との戦いで、片方は人間、人は少なく護衛する騎士が二人だ。
一方のもう片方なオークと呼ばれる種族だ。オークはあまり頭が切れる方ではないが、少なからず人間よりは戦闘向きである。しかも数が多い。五、いや六匹はいる。
おそらくは人攫いと物を奪おうとして襲ったのだろう。不意をつかれたのか、騎士のうちの一人は力無く倒れていた。このまま逃げるか、または混乱に乗じて物を奪い取るか考えることはしなかった。今はそれよりも得策なことがあったからだ。
ボクは
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