2 四十にして惑う

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 「ディルドゥ。もう少し慣らさないと。おれの指よりは太いけど、おれのよりは小さいよ」  糸川が言ったディルドゥなるモノが一体ナニなのかは、言い終えた後に糸川がその大本ズバリを押し付けてきたので、小野寺には分かった。 いわゆる張形、動かないバイブレーターだった。  そんなモノまで持って来る糸川を小野寺は呆れるのを通り越して、ほとんど感動した。  自分へと向けられた、この強く激しい衝動を何とか昇華させてやりたい・・・ そう思った思わされたのならば、応える方法は唯一つしかないと小野寺は考えた。  小野寺は小声ながらも、糸川へと訴えた。 「もう、いいから・・・早く入って来て」 「顕・・・?」 「早くっ!」   全く恥ずかしくなかったと言えば、うそになる。 男女を問わず、こんな風に誰かをあからさまに求めたことはなかった。 初めてのことだった。  指よりも更に分かり易い衝撃と音とでディルドゥは中から出て行ったが、その次に、すぐに来るだろう糸川の欲望を衝動そのものを思うと、小野寺は動悸を抑えられない。  カサコソという、おそらくはゴムを着ける乾いた音が止んですぐに、小野寺の体は仰向けにされた。  糸川に真上から間近に見下ろされ、念を押される。 「顕、痛かったら、本当に言ってね?」  自信の無さ故にというよりは、自分を思い遣ってくれていると感じた小野寺は、糸川へと無言でうなずいた。  腰が持ち上げられ、脚が大きく広げられるのは以前と同じだったが、違っていた。 ・・・全く違っていた。 「あぁっっ!」  衝撃と快感とが同じ勢いで強さとでやって来て小野寺は、とっさに声を抑えることが出来なかった。 糸川が入ってきたのと同時に達するのは何とか堪えたが、そう長くは持たなさそうだった。  腰が体が強く弱く揺さぶられる。 荒い息を吐き早そうに、小野寺は自分の腹と糸川のとに精液を放った。  糸川もまんまと釣られた。 しばし、ほんのしばし全身で小野寺へとのしかかる。  まだ、その体がつながっているのがうれしかった。 しかし、小野寺が小さくだが呻いたので退いた。  二人して言葉もなくただただ鼓動が収まるのを待ち、呼吸を整えた。 先にどちらも落ち着いたのは若い糸川の方だったが、そのまま深い眠りへと引きずり込まれたのも、その若さ故か。  小野寺はそんな糸川の手を一度だけ握り、そして、その体にタオルケットを掛けてやった。  
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