桜雅

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心地よく吹く風。鳥の囀り。 ここは、どこだろう。 うっすらと開いた目に入り込んできた日差しが眩しい。 「眩しいなぁ……」 もう一度目を瞑ろうとした時だった。 どこからか、美味しそうないい匂いがしてきた。 「!?」 体が起き上がった。 「うわぁー!美味しそうな匂い!」 少し歩いたところに桜の木があった。 とても綺麗な桜だった。 一筋の風が桜の木を撫でた。 その風は、花びらを運んでいった。 木の下に1人のおじいさんがいた。傍には団子とおにぎりをのせ煙をのばす七厘が1つ。 おじいさんはこちらに気づいた。 「お主はどこから来た?」 そうだった、俺はどこから来たのだろう…… 「まぁよいよい。うむ、お主、腹は減っておらんか。」 男の子はは首を縦に振った。 おじいさんは優しく微笑んだ。 「左様であるか。では共に食べようじゃないか。」 男の子はおじいさんの傍に行き腰を下ろした。 「わしは、山臥(さんが)という。お主、名をなんというのだ?」 「俺の名は……そうだ、たしか、俺は羅日(らび)という名だったと思う。」 「そうか。羅日か。良い名だな。どれ、そろそろ良いだろう。」 おじいさんは、羅日に焼きおにぎりと団子を分けてくれた。
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