復讐

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復讐

千咲と付き合うのは今までとは違った。 ところ構わず引っ付いてくる所も、 笑った顔や怒った顔、拗ねた顔 表情、仕草、その全てを愛しく思った。 これが間違いなく俺の初恋。 自分が自分で居られた。 キスもセックスもしていない 健全な付き合いだったけれど、 それ以上に満たされていた。 だから誰にも邪魔されたくなかった。 ばれない様必死に隠したんだ、 『皆のおもちゃ』の部分を。 ばれたく無かった、このイジメと、 内容と、過去の自分も。 嫌われたくなかった。 それが間違いだって事に きづかないまま……。 千咲と過ごす天国のような時の裏で、 地獄のような時間、奴らに遊ばれる。 千咲と付き合ってから、 『最近調子乗ってる 菊池の娘を手なずけたおもちゃ』 になっていた。 1度は手を引いた奴らも集団の中で 『鬱憤の対象』がいなくなるのは、 自己を保つのに不可欠で、 再び手を出し、溜まった吹き溜まりを だすかの様にそれは激化していった。 奴らは顔には手出ししなくなったが、 身体だけに酷く暴力を出した。 お金を取られる事もあった。 自慰行為をさせられて、 セックスも当たり前にされたし させられた、写真も撮られた。 でも千咲さえいれば良かった。 千咲と一緒にいる時間を守る為なら こんな事どうでも良かった。 多分どうしていいか 分からなくなっていたんだろうな。 助けてと誰かに頼れば良かった。 教師や或いは親でも良かった。 学校を辞める選択肢もあった筈だ。 でも、一緒にいた千咲も 少しだけイジメには気づいていて、 千咲は出来るだけ傍にいてくれて、 追っ払ってくれた。 だからこそ余計に、 離れられなくなっていった。 世界が2人だけの様に見えていた。 バレたくない、一緒にいたい、 味方がいる、がんじがらめになっていた。 あの日あの時、 何もしなければ良かった、 抵抗していれば良かった、 過去の後悔は山ずみになっていく。 塾のアイツがした復讐は、 俺を苦しめている。 アイツの復讐は思う通りに成って、 俺は、普通の恋が出来なくなった……。
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