復讐

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だから、こんな恋は長く続かない……。 千咲との日々を続けていく中で、 ある日、学校に行こうとした時、 玄関でとんでもない吐き気に襲われた。 今までこんな事は1度もなかった。 病気かと思って病院に行った。 ただの風邪だと言われ帰されたはいいが、 帰ってベッドで休んでいると何も無い。 でも次の日も、次の日も、 その次の日も同じ事が起こった。 学校に来ない俺を心配し、 誰かに聞いたのか 千咲が初めて家に来た。 五月蝿い母親が千咲を見て、喜んでいた。 その顔が気持ち悪くて、 ニヤついた顔が気持ち悪い、 あいつらの顔がよぎる……。 その場で吐いた。 散らばる嘔吐物、体液、 笑い顔、血、ぐるぐる。 この時だった、俺の何かが崩れたのは。 1人なら耐えられた。 感情を捨ておけばよかったから、 でも、耐えるイジメに、色んな嘘に、 隣にいた千咲への後ろめたさに、 身体が拒否反応を起こした。 もう嫌だ……、限界だ。 消えてしまいたい。 そんな思いが産まれた瞬間だった。 一緒にいれば良かった? 何にも良くない! 俺だけが不幸だ。 もう駄目だ、嫌だ、なんで俺だけ…。 泣きながら、吐いて、 母親にも千咲にも当たり散らした。 帰れ、どっか行け、構うな。 そんな事を大声で叫んだ。 母親は唖然としていた。 千咲はこっちに寄ってきたけど、 その手を振り払い部屋に逃げた。 嫌だ、嫌だ、もう無理だ。 千咲は追いかけて 部屋にはいってき、何かを言っていた。 聞こえない様に耳を塞ぐ、 何を言っているかは分からないけど 頭の中でぐわんぐわん響き それは大きな音に聞こえた。 苦しい、嫌だと思いつつも、 千咲がこうして追いかけて くれてきた事に対して、嬉しいと 感じる心もあって、 ぐちゃぐちゃになった。 タガが外れたモノは止まっては くれず、千咲に言ってはならない事を 言ってしまった。 イジメられるのはお前のせいだとか、 お前と付き合ってから辛いとか、 もう嫌、あっちにいけ、嫌いだと 思っていないことを、 お前以外とも関係があるとか、 言う必要の無いことを、 千咲は嘘だよね?と、 何度も何度も確認をしていた。 でもその言葉を塞ぐように、 大声で肯定し、自ら全てを壊した。 千咲はポロポロ泣いて、 空虚な瞳で此方を見て、 ごめんなさいと言って帰って行った。 本当に謝るべきは俺。 でもそんな余裕はなかった。
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