復讐

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それから俺は学校に行くのを止め、 ずっと部屋で過ごした。 五月蝿い母親は、何も触れてこなかった。 母親が何も言わないせいか 父親も何も言ってこない。 唯一、仲良くないはずの妹のナナが、 夜中にこっそり部屋を尋ねてきて、 おにぎりとポカリを置いていく。 その奇妙な行動に疑問を感じたが 聞くことも無く、 ベッドにころがる日々。 抜け殻みたいだった。 たまにでる涙は、一体なんなのだろう。 肩の荷を全て下ろしたのに スッキリしない胸の内も…。 千咲はどうしているだろう。 俺をどう思ったかな。 呆れただろうか、軽蔑しただろうか。 でももう何でも良かったつもりだった。 ナナの言葉を聞くまでは……。 ナナは俺の事が嫌いだと思っていた。 母親の差別や俺自身も距離を おいていたし、ナナも俺と関わろうと しなかったからだ。 いつも仏頂面で、俺を見ている ナナしか知らなかった。 夜中に又ナナはおにぎりとポカリを 持ってきてくれたので、 その日はありがとうと声をかけた。 ナナは涙を浮かべ、 オニイ、大丈夫?と言った。 その意味がよく分からずナナに 聞いてみたんだ、何でかと。 俺が知らない所で起こっていた事、 イジメについて千咲の父親が学校に 乗り込んだ事で、全員に広まり、 大問題になっていた。 証拠は沢山あって、周りのアンケートで いじめていた奴らはすぐバレた。 五月蝿い母親が何も言ってこなかったのは 教師の訪問と加害者親の謝罪、 学校で俺をいじめていた奴らは 全員揃って自主退学したそうだ。 そしてもう一つ、千咲が転校したと。 千咲がこれを起こし、 何らかの原因で転校した。 全て俺の為だ……。 あんな酷い事を言ったのに、 なんでだよ…。 なんで何も言わずどっか行くんだ。 聞きたい事が沢山あった、 でもどんな顔をして会ったらいい? ナナは何も言わない俺に言った。 「千咲ちゃん、何回も来てたよ。 学校の事は何も言わなかったけど 凄く心配してた。 これも……、おにぎりとかも、 持ってきてるの千咲ちゃんだよ。」 俺はなんて馬鹿なんだ。 無駄な時間を 過ごしている間に千咲は……。
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