プロローグ~過去~

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小さな頃から 可愛い可愛いと、言われ育った。 小さい時は素直に嬉しかった。 でも物心ついた時、母親が妹と俺と に差をつけている事に気づいた。 妹は母親似で、俺は父親似。 母親は外見至上主義者で、 父親に似た俺を異常に可愛がり、 妹を蔑ろにしていた。 きっと俺を可愛がるのも、 外見しかしか見ていないからだろう。 だんだん母親の事が嫌いになっていった。 それに伴い、周りの外見を褒める奴らも 気持ち悪く感じていった。 当たり前のことで、俺も成長する。 可愛いからそれはかっこいいに変わった。 それでも、周りの求めるものは 何も変わらない。 ただ単純に俺はお飾りなんだろう。 中学2年の時、1こ上の女子の先輩と 初めて付き合った。 別にその人の事は好きじゃなかった。 友達に勧められたのもあったし、 皆もそういう付き合いを 始めていたからなんとなくだった。 その人は俺の事を大切にしてくれた。 これが、好きという事なんだろう。 一緒に帰ったり、遊んだり、 メールしたり、電話したり。 凄く楽しかった。 想われるのは、居心地が良い。 付き合うというのは、すなわち 恋人な訳で、手を繋ぐようになって 距離も近くなる。 段々階段を登るように、キスしたり、 身体に触れたりした。 男である自分はそれに誘われていった。 初めてのセックスは緊張したけど、 気持ちいいだけだった。 それだけで、何も無かった。 結局俺はその人を好きに なれなかったんだろう。 楽しかった、気持ちかった、 居心地が良かった、これは俺の感想。 でも、この人に向ける自分の想いは 本当に無かった。 だから申し訳なくて、お別れした。 その人は泣いていたけど、 寂しい以外に何も思わなかった。 それからも、何人かと付き合った。 でも、結局する事は全く同じ。 人が違うだけで、一緒に感じた。 俺は何処かおかしいのかなと その頃から思う様になった。 感情の欠落? でもそれでも生きていける。 自分が楽しければそれで良かった。
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