プロローグ~過去~

3/4

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「聡ちゃん。部活辞めるように 学校に電話しといたからね。」 ある日、母親がこういった。 本当に勝手な母親だ。 別に部活に思い入れがある訳じゃない 勝手にされるのに腹が立つ。 「それと、塾に申し込みも しておいたからね。」 全て、あなたの為よ。 そう帯についている気がした。 でも逆らうのも煩わしい。 どうせなにか言えば騒ぎ立てて、 妹に当たり散らし、父親に言いつけ 説教だろう?知ってるよ。 言いつけ通りにしてやるよ。 それで満足ならば。 俺は顔しか魅力がない、 きっと皆そう思ってる。 ならばいい機会かもしれない、 勉強して、見返してやる。 それからは娯楽と呼ばれる 付き合いも、遊びもやめて、 勉学に励んだ。 これもやってみれば楽しいじゃないか。 学校では普通に友達と過ごし、 塾では1人だった。 ここは所謂進学塾で殆どの奴が 1人だったし、向かうは皆、机。 孤独感、寂しかったんだな多分、 隣の奴に喋りかけてみたんだ。 これが正解だったのか、 間違いだったのかは分からない、 ただ言えることはそいつとの仲から、 俺の何かが拗れたのは確かだった。 そいつは隣町の中学で、 わざわざこっちまで来ているんだと 言っていた。 俺と同じ様に親に、 勝手に申し込まれたとも。 親近感がわいた、同じ様な奴いる事に。 塾ではそいつとつるむ様になった。 でも、仲良くなるごとに違和感を 覚えていった。 そいつはいちいち距離が近い。 やたらとベタベタしてくる。 それに加え、付き合ってきた女達と 同じ顔を浮かべるようになっていった。 不思議な事に俺は拒否感が無かった。 普通ならばこういう時、 嫌だとか、気持ち悪いとか、 なるものなんじゃないのか。 友達も『ゲイ』とか言って、 からかって言ったりしてる。 塾の終わり、そいつの親が 迎えに来るのを待っていた時、 興味本位で聞いてみた。 俺の事好きなの?って。 そいつは何かごめんと謝っていた。 何で謝られたかは分からない、 でもそれはYESということなんだろう。 俺は言った。 「いいよ、付き合っても。」 と。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加