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今は、アイドルとマネージャー。
昔は、年下の幼馴染とお姉さん。
関係が変わっても彼はあまり変わらない感じがする。だから、そのせいで…自分の立場を忘れそうになる。
「楽屋戻って、次は雑誌の撮影だからね。」
「はーい。」
私の言葉に返事をしてから、収録の片付けをしているスタッフの方を見てから『お疲れ様でしたー』と大きな声で挨拶をした。
悠人の挨拶に合わせて私も深く頭を下げる。
スタジオを出て楽屋に向かうまでの間もたくさんの人とすれ違う。その間も悠人は常に『アイドル』で居なきゃいけない。
「悠人、先に楽屋に戻って着替えといてね。」
「えっ、百合姉はー!」
人の腕に絡んでくる手を外しながら、カバンから携帯を取り出す。
「次の現場に電話してから、迎えに行くから。」
「はーい、早くきてね!」
悠人の背中を見送りながら、人の少ない階段の踊り場で電話をかける。
「もしもし、鍵村悠人のマネージャーの酒井です。いつもお世話になっています。…はい…ありがとうございます。それでですね、そちらの現場には何時ぐらいから入れますでしょうか?」
電話をしながらも、周りを通り人と会釈を交わす。
「はい、ありがとうございます。では、楽屋はすぐにでも入って大丈夫なんですね。少し早くなりますが、楽屋のほうお借りします。はい、それでは後ほど、失礼します。」
言葉とともについ頭を下げてしまう。
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