2人が本棚に入れています
本棚に追加
地下駐車場を出ると、出待ちのファンの子に見つからないように『頭下げてねー』と口癖のように言う。ファンの子を大切にするのは大事なことなのはわかってるけど、車が特定されるとまた別の車にしないといけなくなる。
「ねぇ、百合姉ー。」
「何?」
「彼氏できた?」
「ちょ、な、なんて質問するのよ!!!事故ったらどうするのよ!!!」
突然の質問に、ついつい慌ててしまった。
「彼氏なんていません!今は、仕事が恋人なの。」
「仕事がってことは、俺が恋人って事?」
「はぁ!バカな事言ってないでほら、次の撮影の資料読んどきなさい。」
「はーい。」
軽い返事のあと、ガサガサと資料を広げる音が聞こえてきた。
変な質問をされて、心臓がバクバクしながらも安全運転を心掛けて撮影所へ向かう。
撮影所は、相変わらず古くてよく言えば味わいがあるのかもしれない。撮影所の地下駐車場に車を入れて周りに一般の人がいない事を確認してから悠人が乗る後部座席の扉を開ける。
最初のコメントを投稿しよう!