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「着いたわよ。」
「ありがとう、百合姉。」
荷物を持って楽屋がある五階へ向かう為にエレベーターに乗り込む。いつもと変わらないエレベーターのはずだったのに。
それは、突然の揺れとともに訪れた。
「キャァァー。」
「百合姉!!」
突然の揺れにバランスが崩れた所を悠人が抱き止めてくれた。
「あ、ありがとう…もぅ、大丈夫だから離して。」
「……やだ…。」
言葉ともに、抱き締める手に力が入る。
「悠人、やめて…。」
「俺のこと、嫌い?」
「…悠人は、トップアイドルなの分かってる?」
「分かってるよ、でも…俺は百合姉のためにアイドルになった。百合姉がアイドルが好きだって言ってたから俺がアイドルになったら俺のこと好きになってくれると思ったから!!」
抱き締める手が離されて、壁に押さえつけられる。
「マネージャーとしてだけじゃヤダよ。ちゃんと、百合姉…百合として俺の隣にいてくれないとヤダ!俺だけのモノになってよ。」
吐息がかかる距離まで悠人の顔が近づく。
「……アイドルじゃなくても、昔から好きだったよ。でも、今はダ……。」
言葉を遮るように触れた唇から、彼の言葉が流れ込んでくる。
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