序章 ー突然の覚醒ー

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序章 ー突然の覚醒ー

「おい、待てよ!」 遠くなっていく我が友人の声。 自分の命が終わることを察し、目を閉じる。 俺は交通事故に遭った、しかも相手から突っ込まれて即死になる程度のだ。 友人との思い出やあまり思い出したくない元々の家の思い出、 今の家の思い出や成績がどんどん俺の頭から抜けていくのがわかる。 俺は最後に何ができたのだろうと思う。 なぜか急に聴覚スロットルのみが上げられたような感覚。 急にいろんな音が大声で聞こえてきて吐きそうになるもそれを抑える。 「あの子、大丈夫なのですか」 「まぁ、なんとか後遺症も出ないでしょう。  しかし…意外ですね、心臓が一分ほど止まったという情報を頂きましたから 普通は心肺停止によって亡くなるのに」 誰だろう…そう思って瞼を開けてみると、俺には数本の痛々しい管が。 あまりにも痛々しいので俺の腕を押さえたくなるほどだ。 「あ、目覚められたのですね」 そこにいたのはクラスの担任。 「伊東くん、大丈夫?」 「あ、はい。普通に生活できそうです」 隣にはブツブツ言っている医者の姿が見えたものの、何やら電話している様子で 話しかける義務もないだろうと察する。 「これは…異常事態だ…急遽検査室にID234098を…」 何やら異常事態らしいと察し、自分のIDを探す。 そういえば…234098って俺だった気がしなくも… 「異常事態なので点滴を最大出力で落としていきますねー」 急に現れるのは看護師。 「これなら、2時間後には始められそうだな…  伊東くん、私は浅野という。君の体に変化が見られたようだから  検査室に行ってもらうことになった。奥村先生には少しお願いすることがあるので  すみませんが面談室へ付いて来てくれませんか。」 おいおい、体に変化ってどんなやつだよ 高校生活どうすりゃいいのよ…
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