ひな鳥の想いは

3/5
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 一体私が何をしたというのか。  何も出来なかった私……いや、兄妹達を見捨てて、一人生き残った私が自分だけ助かろうとしたことは、それほど重い罪だったのか?  どれだけの月日が経とうとも。  どれほどの飢えに苦しんでも。  一度死んでしまった為に、死ぬことが出来なくなった私はずっと、ずっと苦しみ続けた。  苦しみ続けることを決められた私は――でも。 「――おまえ、腹減ってんのか?」 「ここにメシ、置いておくから。好きなだけ食べろ」  ある日、突然――目の前に食べ物が置かれた。  目の前に置かれた食べ物――今まで見たことがないそれは。  ……“人間”が置いたものだった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!