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ひな鳥の想いは
――あなたへの恩を、今こそ返そう。
鳥のひなは巣の中で成鳥になるのを待つ。
それは親鳥の手助けがあって、初めて出来ることだ――しかし。
その親鳥が“育児”を放棄してしまえば、ひなは育つことが出来ない。
親鳥に見捨てられたひな達は、自分達の力では生きることが出来ないから、そのまま死ぬしかない。
生きる為に、成長する為に食事を摂ることが出来ないひなは一羽、また一羽と死んでいく。
……そして、私が最後の一羽となってしまった。
周りには兄妹達――その亡骸がある。
最後に残ってしまった私は、死んでしまった兄妹達と同じ運命を辿るしかない。
せっかく羽を持って生まれたのに、一度も空を飛ぶことさえ出来なかった私達は、ただただ死ぬ為に生まれたようなものだ。
私はそれが嫌だったから、独りになったのが嫌だったから。
……だから、私はわざと巣から落ちた。
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