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朝にも関わらず容赦ない日差しと蝉の激しい雑踏した音が僕を歓迎した。こんな空気を肌で感じると、半年前の静寂した朝が嘘だったかのように感じる。
―インドアには厳しいこの環境の中、短パン嫌いの僕は踝まであるジーパンにTシャツで、この大事な実験に比較的カジュアルな格好で挑むことにした。
しばらく近所の住宅街を歩いていると、陽光に熱せられたトタン屋根の小屋に寄りかかるようにアサガオが咲いているのを見つけた。それは少し小道に入ったところにあった。
薄青い綺麗な花をいくつもつけていたが、昼がもうじきなためか、少ししぼむ方向に花々が向かっている感じであった。
どうせなら有名どころになろう。
この季節のためか、さっきから沢山の植物に出会ってはいたが、記念すべき最初の植物は有名なものがいいと思い探していたところに、蔓を伸ばした立派なアサガオが鉢に咲いていたので、運命を感じた。
僕は直ぐに取りかかった。『プラントに移らんと』をそのアサガオまで持っていき、スキャンを開始した。
―スキャンは一、二分で終わり準備が整った(我ながら高性能なマシーンを造ったもんだと誇った)。
「よし。」急に緊張してきたが、それよりも期待の方が勝った。僕は手に持つそのマシーンを今度は自分に向け、いよいよボタンを押した。
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