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「ねえねえ、『お菓子なお返しさん』って知ってる?」
休み時間。ボーッとしていると、ユカちゃんがやってきて行った。
「おかしなお返しさん?」
「知らないでしょー。教えてあげるねっ」
机の横に立ったユカちゃんは弾んだ声で語り出した。
「この塾の裏に空き地があるでしょ?あそこの片隅にはお地蔵さんがあるんだって。そこにお菓子を供えると、お返しに願いを叶えてくれるんだって~」
「お返し……代償って事?」
「ダイショウ?何それ?」
首を傾げるユカちゃんに私は電子辞書を出し、”代償”と表示させた画面を見せる。
「『他人に代わって損害のつぐないをすること』…?よくわかんないけど、その人に代わって何かをしてくれるって事ならこれだね!さすが盟慈志望!」
拍手するユカちゃんに苦笑する。スマホのゲームのやり過ぎを心配したお母さんに言われ最近この塾に通うようになったというユカちゃんにとって、難関中学・盟慈中学受験のために一年生の頃からここに通っている私は何でも知ってる秀才キャラみたいに見えるらしい。
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