リビングデッド

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ワンルームの隣に住むゾンビと最近仲良くなった。 同じ映画学校に通ってたので知り合った。 初めて今日は家に招かれた。 玄関から部屋はひっくり返っていた。 読んでないのに新聞をとっているのか2つ折りのまま山積みだ。 何に使うのと思ってみてたら、地面にひいたり,自家製の使い捨て布団にしたりするみたいだ。 「ちょっと部屋くさいかもしれへんけど」 そういいながら家にあげてくれた。 ちょっと臭いがきつかったが、正直に答えると失礼に当たると思い 「香ばしい匂いがするね」と答えた。 実際は雨の日のおばあちゃんのつっかけの匂いを思い出した。 もしくは雨の日の野良犬の匂い。 でも慣れてくると煙草の匂いがこびりついた部屋同様、気にならないレベルになった。 ワンルームに住む男の匂いと思えば、こんなものかもしれない。 「カップ麺でもたべる?」 といってきたので「うん」と答えた。 お湯を雪平鍋で沸かし、 先ほどの新聞を一つ玄関まで取りに行き、 カップラーメンの上にのして重しにしていた。 カップ麺が出来上がるまで部屋の周囲を見渡す。 難破船の室内のようで気を使わなくて気楽でいいのかもしれない。 ししゃもを何本かをおやつにストックしているのか、瓶に入っている アイフルのティッシュもあちこちに置かれている。 彼はカップラーメンに納豆を流し込みながら、たべている。 コンビニの袋からおにぎりとからあげくんレッドを出した。 僕もおにぎりとカップめんとからあげくんレッドをよばれた。 ドリンクはワンカップ大関を出してくれた。 ゾンビの映画に何本か出演した話を食べながらきいた。 食品系では働けないので、バイトはもっぱらゾンビ映画のエキストラや ミュージックビデオのゾンビ役、テーマパークや遊園地のお化け屋敷だそうだ。 アメリカドラマのウォーキングデッドが最近のお気に入り。 あれのヒットのお蔭でゾンビをミュージックビデオにキャスティングされて 仕事が増えたらしい。 パッと積み上げたDVDを見るとキョンシーもあった。あれもゾンビか。 なぜか『ダウンタウンのごっつええ感じ』のビデオもあった。 テレビの棚には手塚治虫の火の鳥の漫画だけ並べられている。 あれはゾンビ出てたっけ?
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