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爪が巻いてきたり石が挟まったらしく、新聞の折込をひろげて切り出した。
それを見ながら、僕は不意にいった。
「こないだは授業中ウンコ漏らしたとき、一緒に漏らしてくれてありがとう」
入学してすぐの健康診断で、バリウム飲んだので下剤を飲んだからブリブリもらしたのだ。
便通のいい者は半粒でよかったのに一粒も飲んだから。
泣き笑い顔の僕をみたとき、まだ我慢できた彼も一緒に漏らし出した。
「困ったときはお互い様やから」
と彼はちょっとかっこつけて言った。
もらしてかっこつけていたところを講師もほめていた。
知らん顔できない優しさに助けられた。
それで仲良くなったのだ。
それから二人でバイオハザードのゲームしたり、とりとめのない話をして過ごした。
帰り際、まだ見たことないゾンビものの小説やビデオを物色した。
「見たい映画あったら持っていっていいよ。それこそ、腐るほどあるよ」
ヒマワリの種みたいになった歯を出し、ニコッと笑った。
苦学生のゾンビでもそれなりに楽しい人生を送っているとわかった。
ちなみにわたしもゾンビだ。世間知らずで、お金持ちのゾンビのバカ息子だが。
だから苦労してきた彼の前向きな姿勢にひかれる。
自分にはないものをたくさん持っている。
お互い理性をなくすまでは、友達でいようと思った。
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