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弟子が、どこからかパソコンを用意し、いつの間にか作っていたらしいwebサイトを見せてくる。この弟子は機械にも強いみたいで、今時なデザインのサイトが開かれていた。何とテンプレートを入力すると、大まかな料金まで出る仕組みになっている。
「……おお、こりゃあ確かに客を呼べそうだ」
「まあ、これだけで依頼人が増えたら苦労はしませんけどね。ただ、依頼までのハードルが低くなるのは重要ですよ。というわけで、師匠からはもう手を貸してもらわなくても結構ですよ。家でゆっくり過ごすなり、どこかの高校に入って女子高生として過ごすなり、お好きにしてください。ああ、ただ彼氏を作るのは禁止ですよ?僕がいるんですから」
「誰が作るか!っていうか、探偵業は俺も絶対参加させてもらうからな!一応俺の名前で事務所を開いてんだから!」
それに、探偵業を営んでいく中で、もしかしたらこの魔導生物に変えられた姿を、元に戻す方法が見つかるかもしれない。
某事件を引き寄せる体が小さくなった高校生探偵だって、数十年かけて高校生に戻ったりまた体が小さくなったりを繰り返しているのだ。きっと根気強く魔術の世界に触れていればいつか元の姿に戻れるはずだ。
「まあ別に構いませんけどね。夫婦で悩みを解決しますっていうのもいい響きですし」
「勘違いさせるような台詞をぜってー吐くなよ!?……っつーか、妙なことを言われる前に、師弟で悩みを解決ってそのサイトに書いとくか……」
弟子が作ったサイトだが、触ることには何の不満もないようで、パソコンのキーボードに手をかけても何も言わなかった。
だが、重要な問題点があったので、屈辱だが弟子に頼らざるを得なくなってしまった。
「……このサイト、弄るのってどうすりゃいいんだ?」
「そんなことを言い出すと思いましたよ。まあ、師弟関係は僕も気に入ってますからね。ええと、そのフレーズを書くならサイトのこの部分がいいと思うので、ここのタグの中に師匠の好きな文言を入力してください」
最近の機械はどうも苦手だ。一体どうすれば、弟子よりもIT系に強くなることができるのだろうか。
こうして俺は、天才ダンディー魔術師改め、天才美少女魔術師として世の中に名前を馳せることとなった。
この時はまだ文句を言いつつも楽観的だったので、まさかあんな波乱万丈な生活を送ることになるとは思っていなかった。
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