いつだって傍に

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 わたしと愛奈(あいな)は、幼い頃からずっと一緒にいた。  いつからそうなったかはよく覚えていない。たぶん、幼稚園のお祭りで一緒に回っていたのはなんとか覚えているから、そのくらいから? どういうきっかけだったかも思い出せないけど、わたしたちはその覚えていないくらい前に仲良くなって、それからはずっと、当たり前のように一緒だ。  小学校のクラスも、選択授業も、遠足の行動班も、林間学校とか修学旅行とかの行動班も、もちろん寝る部屋とかだって、他の友達とは多少違うところになってしまったりとかいうことはあったけど、愛奈とだけは絶対に離れずに傍にいた。  ――なんていうことを、春の日差しにつられるようにぼんやり考えてしまう。高校の近くを流れる小川に設置されたベンチに並んで座っていた愛奈が、そんなわたしに気付いて覗き込んでくる。 「どうしたの、優花(ゆうか)?」 「ん、いやなんかさ。うちらってどうやって仲良くなったのかな、って思って」 「――――」 「?」  一瞬だけ。  ほんの一瞬だけど、愛奈が泣きそうな顔をしたように見えた。 「あ、愛奈?」 「えっ?」  なにかまずいことを言ったんじゃ……?  そう思って声をかけたときにはいつも通りになってたけど……。  なんとなく、夕方の柔らかな日差しを浴びた川辺の景色が、いつもと違うものに見えた。
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