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「その滝壺のほとりに祭壇かなんかをこしらえて、そこに牛の首を祀ったらしい。首からはダラダラと血が流れ続けてる。ヒジリは枝を一本折って来ると葉っぱに牛の血を付けて、踊りながら辺り一面にぱっぱと撒き散らした。それで儀式は終わったんだとか」
あまりに奇異な話ではあったが、私は主人の話を手帳にメモしながら聞いていた。
「それで、雨は降りましたか?」
私は当然の疑問を口にした。
主人はそこで口ごもった。
「いや、それがな降らんかったらしい・・・」
「なんと」
「ああ、ひでりはその後も続いたと言う話だ・・・。で、むごいのはその後でな。なにせ牛一頭潰しておいて雨が降らなかったもんで村人達の怒りと言ったら・・・。」
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