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「その後、牛の首はどうなったのですか?」
「首は元通り祭壇に戻したようだ。皮肉な事にそれから程なく村には雨が降った。これで米も取れるようになるって村人達は飛び上がって喜んだ。厩ヒジリの亡骸も墓地で弔ったという話だ。」
「なるほど。これがこの地に伝わる牛の首の顛末というわけですな・・・。」
「いや、まだ話は終わらん・・・。その出来事があってから、となり村じゃおかしな事が起こるようになった」
「おかしな事とは?」
私の問いに主人は伏し目がちに話を続けた。
「その年から、雨の降る日に村の中で厩ヒジリの姿を見たと言う者が出るようになった」
「馬鹿な、ヒジリは死んだはずでは?」
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