雨乞いの祭祀

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「そう、確かに死んだ。いや村人が殺したも同然だが。そのいないはずのヒジリを何人もの人間が見るようになったのだ」 「見間違いでは?」 「見たもの達は口を揃えて厩ヒジリだと言ったそうだ。なにせ風変わりな格好をしているから一目で分かるらしい。雨の日の晩、村人の家の屋根の上で枝を振りながら踊っているというんだ。そしてその足下には黒々とした牛の頭が血を滴らせて置かれていたと。」 「・・・まさか、ヒジリの亡霊だとでも?」 「それの正体は分からん。ただ、厩ヒジリが屋根の上で踊った家では必ず近いうちに家の者が死ぬ。雨が降るたびにヒジリは現れるようになり、村で次々と死人が出るようになったんだ」
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