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 あの時、占い師が声を掛けたのは彼女ではなく俺だった。  他の相手に奪われた好きな人を取り戻したい。叶うことなら、仕返しをしてやりたいと確かに思っていた。  ああそうだ。  目の前にいる俺の醜い心にも気付かず、あんな女をいつまでも気にしている彼女がどうしても許せなかった。  俺を選ばなかった仕返しに、彼女を溶かしてやりたかった。だけど結局は怖くなって実行できなかったのだ。  けれどまさか彼女も同じことを考えていただなんて。  彼女は俺ができなかったことを目の前でやってのけた。俺にもそんな度胸があれば、妄想の中とは言え彼女と一つになれたのに。  可愛い彼女を溶かしたいという願いを叶えることもできず、俺はあの占い師から貰った瓶をもてあそんでいた。 終
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