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 重い気持ちを抱えたまま放課後を迎え、一人でとぼとぼと帰り道を歩いた。  こんな時、隣に彼がいれば少しは気がまぎれたのに、あいにく用事ができてしまったらしい。縋ることのできる相手がいなくて、溜息が零れ落ちてしまう。 「あ」  昨日と同じ場所にあの占い師さんがいた。こちらをじっと見ているけれど、咄嗟に目をそらして歩く速度を上げる。 「可哀相に、親友が自分の苦しみに気付いてくれないんだね」  占い師さんはこちらがむっとするようなことを言ってくる。こんなもの気にしちゃダメ。無視しないと。 「ダブルデートだなんてひどいことを言う子じゃないか」 「!」  思わず足を止めると、占い師さんが含み笑いをしているのが分かった。 「もしあの薬が欲しいのなら、手に入れるには今しかないよ。あれはなかなかの貴重品だから、その内に売り切れちゃうかもね」  どうする? と言わんばかりに机の上にあの瓶を置いた。  どうしてだか、見ているだけでぞくぞくした背徳感のような物が湧き上がってくる。これさえあれば本当に、私は望みを叶えられるの?  けれどそれを手に取ろうとして、やっぱり躊躇してしまう。 「そんな物に頼りません!」  ほとんどムキになって言葉を叩き付けると、その場から逃げるように走り出した。
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