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男子バレー部 春風
最初は山本に惚れただけだった。
でもいつの間にかバカな男子どものことがほっとけなくなって、自主練のボール出しもするようになって、気づけばすっかり私はこの部活の一員になっていた。
マネージャーの仕事は決して華やかじゃない。飲み物を作ったり洗濯物をしたり、買い出しに行ったり、雑用ばっかりだ。試合の時にはビデオを撮りながら喉を枯らして必死に応援することしかできない。
そんなことをみかんに愚痴ったら、いいことを教えてもらった。
「何もしてあげれないなんてことはないと思うよ。ヒビキが男バレのために沢山してるのはみんなわかってると思う」それでね、とみかんは言った。「試合までにさミサンガとか作ってみたらいいんじゃないかな、みんながより一つになれるように、ヒビキがみんなのためにできることを全部やったって胸張って言うためにも」
すごくいいと思った。私の作ったお揃いのミサンガをつけて、コートを走り回るバカどもを想像したら、胸がふわふんした。
早速私はその日のうちにミサンガの材料を買ってきて、作り方も調べた。
「山本、みんなに配って欲しいものがあるんだけど、頼める? 」
山本が、私が作ったミサンガを見た時に、顔をしわくちゃにして笑ったことが、受け取った部員が飛び跳ねながらありがとう!って言ってくれたことが、わたしには耐えられないくらい嬉しかった。
あと、これは誰にも言ってないけど、山本のミサンガだけは一色だけ、多くしておいた。誰よりも輝く、コート上の勇者の証。
それから全員が腕や足にそのミサンガをつけてコートを飛び回るようになった。
最後の大会、みんなはきっと勝つ。わたしはそう信じてる。
練習をコートの端でみつめながら心の中で唱える。
「がんばれ、がんばれ。みんななら勝てるよ」
この部活のマネージャーをやってよかった。これが、私の大切なものだから。
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