愛しきすべてに、その加護を

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 それからすぐにわたしは山に帰って、その子ともそれっきり。  ……え、それだけ、って? それだけよ。  名前も聞かなかったけれど、あの子、元気にしてるかしらねぇ。  ……そういえば、旅人さん。後ろにいるその子、ひょっとして人間? あの子よりは大きいみたいだけど。  ちょっと、こんなところに人間を連れてくるなんて、何を考えているの!  人間は寒さに弱いんだから、放っておいたらすぐ死んでしまうかもしれないのよ?  ……なに、そのペンダントがどうしたの。鎖と台座しかないみたいだけど。変わった趣味ね。  えっ、ある日突然、溶けて消えた?  ……まさか、あなた、あの子なの?  わたしが死んだと思って様子を見に来た、ですって?  馬鹿な子ね。旅人さんが偶然この山に来てあなたを見つけなかったら、また死ぬところよ?  それに、あなたにとってはそれなりに時間が経ってるはずよね。  そんなこと忘れてたってよかったのに。……本当に、馬鹿な子。  ……まぁ、死んではいないけれど、ちょうどそろそろってところね。  見た目が全然変わってないって?  いやねぇ。わたしからすれば、人間の方こそ姿がすぐに変わりすぎなのよ。     
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