愛しきすべてに、その加護を

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 ……あらためて見ると、あなた、格好良くなったわね。背も高くなってとっても素敵よ。  旅人さん、この子をお願いね。無事に人里まで連れて帰ってくれないと承知しないから。  ……そうそう。わたしが死んだら、体は溶けてなくなるけれど、宝石みたいな氷の粒がひとかけら残るわ。  あなた、よかったらもらってくれる?  前にわたしが作ったまがい物と違って、今度こそ絶対に溶けないから、安心してね。  ……あら、そう。良い名前じゃない。  もっと呼んであげたいけれど、残念。楽しい時間はもう終わり。  良い子はおうちへ帰らないとね。  ……死なずに済む方法? ないわよそんなもの。  あのねぇ、これでもわたし、結構おばさんなのよ? もう十分長生きしたわ。  最後にあなたと旅人さんにも会えたしね。  看取ってくれる誰かがいるなんて思わなかったから、とても嬉しいの。  だから、そんな顔しないで。せっかく格好良くなったのに台無しよ?  ……うん。やっぱり、笑顔の方がもっと素敵。  会いに来てくれてありがとう、わたしの可愛い子。  またおしゃべりできて、楽しかったわ。もちろん旅人さんもね。  ふたりとも、どうかこれからも健やかに。  わたしの愛しいすべてに、雪と氷の加護がありますよう。
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