1-1

2/4
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「夏休みまでまたお世話になりますよ、よろしくお願いしますね」 うん、と頷いてコマさんは仕事へ戻った。朝から駅員さんは忙しそうで、ほかの知り合い駅員さんに話しかけようとするも、あっけなく。 さらに急がせるかのように、接近アナウンスがコンコースに鳴り響いた。 「おーシノじゃーん」 高専坂のふもとの地下鉄出口から地上に出たとたん、待っていたかのように声をかけてきたのは同級生のニノだ。 「おう、久しぶりだなぁ」 「久しぶりなんだからテンション上げていこうぜ、ほらほら」 こちらも急かすようにして、高専坂のきつい勾配を登り始めた。 「月曜日から一緒のクラスだなぁ、これから4年間よろしくな」 これまでニノとは一緒のクラスになったことがない。2年生より学科とコースでクラスが再編されるので、サトシのニノのように学科とコースが一緒の学生達はそこから4年間一緒のクラスで講義を受けることとなる。 「ニノは相変わらずだな」 「だろう、もっと褒めていいぜ」 別に褒めているわけでもないサトシは、微妙に微笑みつつ周りに目を配る。 「っとまぁ、予想してたことだけどここら辺も1か月で変わるもんだなぁ」 最後の砦だと思ってたんだけど、という言葉は飲み込んでおいた。     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!