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「夏休みまでまたお世話になりますよ、よろしくお願いしますね」
うん、と頷いてコマさんは仕事へ戻った。朝から駅員さんは忙しそうで、ほかの知り合い駅員さんに話しかけようとするも、あっけなく。
さらに急がせるかのように、接近アナウンスがコンコースに鳴り響いた。
「おーシノじゃーん」
高専坂のふもとの地下鉄出口から地上に出たとたん、待っていたかのように声をかけてきたのは同級生のニノだ。
「おう、久しぶりだなぁ」
「久しぶりなんだからテンション上げていこうぜ、ほらほら」
こちらも急かすようにして、高専坂のきつい勾配を登り始めた。
「月曜日から一緒のクラスだなぁ、これから4年間よろしくな」
これまでニノとは一緒のクラスになったことがない。2年生より学科とコースでクラスが再編されるので、サトシのニノのように学科とコースが一緒の学生達はそこから4年間一緒のクラスで講義を受けることとなる。
「ニノは相変わらずだな」
「だろう、もっと褒めていいぜ」
別に褒めているわけでもないサトシは、微妙に微笑みつつ周りに目を配る。
「っとまぁ、予想してたことだけどここら辺も1か月で変わるもんだなぁ」
最後の砦だと思ってたんだけど、という言葉は飲み込んでおいた。
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