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正直、この男から感じる強さは今まで会ったS級冒険者や元S級冒険者の者たちと比べて、間違いなく一段階落ちるだろう。
もしかするとうちの街に来てくれた『赤い狐』のジョゼさんの方が強いんじゃないだろうか?
「こいつは驚いたな! 俺みたいなとっくに冒険者をやめた者の名前まで調べてきているとは、さすが話題のS級冒険者様だ。まぁ不要なのはわかるがこれも命令でな。ぞろぞろついて行くけど気にしないでくれよ」
「なんか悪いな。それじゃぁよろしく頼む」
そう言ってオレたちが乗り込むと、御者が発車しますと声をかけてきて馬車は動き出した。
もう一人の元S級冒険者の男の評判が、かなり悪いみたいなので少し警戒していたのだが、情報通りドーマスの方は話が通じる男で、とりあえずはトラブルは避けられたようだ。
「口は少し悪いですが、思ったよりまともな人ですね……にゃ」
「そうだな。もう一人のゲイマンって元S級冒険者の方は、裏で酷い事しまくってるようだから、迎えに来たのがドーマスの方で良かったよ」
ゲイマンって言うのが、ここのギルマスのテリルロントがぶくぶく太ったとか愚痴っていた男だ。
傭兵ギルド最大の規模を誇る傭兵団『鉄塊』を率いる傭兵団長だが、この傭兵団の評判が最悪だった。
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