【第22話:嬉しいんだな】

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「おぉ! よく来てくれたな。儂がメレンジなんだな!」  そう言って立ち上がったのは2mを超える大男だった。  この世界の冒険者には筋肉の塊のような奴もいるので、縦に大きいのはよく見かけるのだが、今目の前にいるメレンジと名乗った男は横にもかなり大きく、その迫力はオークロードに引けを取らないのではないだろうか……。 「!? 大きい人ですね~!」 「はははっ! 儂は元々冒険者をやっておったんだがね。怪我をして商人になってからは食べる事が趣味になって、気が付けばこんな横にも大きい体になっていたんだな。まぁ甘いチャイを淹れてあるので寛いでくれると嬉しいんだな」  たしかセイルから聞いた話では、元々Bランク冒険者として活躍していたらしいが、商人に転向後は商才に目覚め、たった一代どころかわずか数年でテリハイム共和国一の大商人まで登り詰めたそうだ。  その後、この国では貴族の権利を金で買える制度が昔からあるそうで、それで貴族になったのち、取引のあったこの街の領主に気に入られ、婿養子として迎えられる。  そして数年前、義父が亡くなって当主になったメレンジは、翌年には議会で選出され、今度は首相の座について国の政治の代表になったという話だった。     
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