【第5話:隠していないか?】

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≪主よ。そのギフトの基本的な能力は、与えられた情報から先を予測する力。しかし、そのギフトの本当に面白いところは他にある。通常、神からくだされる神託は絶対だ。しかし、そのギフトはその絶対を覆す可能性を示すことができる貴重な物なのだ≫ 「えぇぇぇ!? 神託を覆すって!? そんなの私知らないわよ!?」  どうやらセイラもその能力は知らなかったらしい。  そのギフトを授かっている本人が一番驚いていた。 「まぁ神託を覆す必要性はないと思うけど、先読みの力は凄い有用だね。じゃぁ、セイラ。まずはオレや母さんと一緒に家庭教師(イザベル)さんから領地運営の事とか一緒に習って貰えるかな?」  情報から何かを正確に予測する能力と言うのは、領地を運営していく上でも、またそれ以外の事においても非常に有用だろう。  オレはその場でセイラを雇う事を決める。 「え? え? 本当に良いの? 一緒に働かせて貰えるの?」  セイラはそんな簡単に話が進むと思っていなかったようで、キョトンとしている。  そのギフトの力を使えば、この話を聞いたオレが絶対にOKを出すのは簡単に予測できるだろうに。 「それこそギフトの力で予測すれば良いのに。そんなギフトを持っているなら、こっちからお願いする話だよ。領地運営を手伝ってくれる?」  オレはそう言ってセイラに右手を差し出すと、 「う、うん! 絶対に役に立ってみせるからね!」  ハニカミながら嬉しそうに握り締めたのだった。     
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