【第5話:隠していないか?】

4/4
2087人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
 特に何かに気付いたわけではなかったのだが、オレのその言葉にビクッと肩をあげるリリーとルルー。  あ……こいつら何か隠してるな……。 「リリー、ルルー。……いったい何を隠してる?」  オレのその質問に明らかに動揺をみせる二人。  何かを誤魔化そうとしているようだが、観念してリリーがぼそぼそと話し始めた。 「その……獣人族は神獣セツナ様を信仰しているんですが、同じぐらい女神様を強く信仰している……にゃ」 「つまりは女神様の使徒であるコウガに仕えたいという者たちが、かなりの数加わって……結果的に移住希望者が凄く増えたの……にゃ」  オレが原因という事か!? あまり考えたくないが、ちゃんと聞いておかなければ……。 「ちょっと待て……という事はセツナだけでなく、オレも……か?」 「そういう事……にゃ」 「今となっては各獣人族の里では、コウガも使徒様として崇められている……にゃ」  信仰対象にされるのは竜人だけで十分なんだけど!?  オレが明かされたその事実に愕然とし、眩暈を覚えているその目の前で、空間が歪み始めるのだった。 「普通に冒険者したい……」
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!