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「でも、移籍していくって言っても同じ街にいるんですよね? 傭兵ギルドに入っても冒険者ギルドのランクが消えるわけじゃないなら、必要な時だけ指名依頼を出せば済む話じゃないんですか?」
それなら掛け持ちで活動して貰って、必要な時だけ指名依頼を出せば良いのではないかと思い、そう聞いてみたのだが、返ってきたのはよくわからない返事だった。
「それが出来たら苦労はしないんですけどねぇ……。何故かわからないんですが、傭兵ギルド側が冒険者ギルドとの掛け持ちを禁止しているせいで、みな移籍した後ギルドカードを返納してくるんですよ」
それなら傭兵ギルドに話をしに行った方が良いかと聞いてみると、どうも傭兵ギルドはあくまでも国からの要請でしか動かない上に、そのほとんどを商隊の護衛や国境沿いの防衛で出払っていてデリスにはあまり人が残っていないのだそうだ。
おまけに魔物を相手にしなくなった為に、皆その実力を大きく落としているようで、今回のような突出した力を持った相手には役に立ちそうになかった。
「この間、元S級冒険者の男に会ったらぶくぶく太りやがって……まったくやってられないですよ……」
それで何だか投げやりな態度なのだろうか? でも、こいつ根っからこんな性格してそうだな。
その後もネチネチと傭兵ギルドや国の愚痴をこぼしているテリルロントを見て、内心そんな風に思いながらも話を進める事にする。
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