2087人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
【第13話:カリンちゃんの葛藤 その1】
~陰謀のバラム視点~
男女5人の人族が虚ろな瞳でこちらを見ている。
俺は昔、『技巧のアモン』からくすねた伝説級魔道具『愚者の嘆き』を使って、呪詛の効果をさらに数倍に高める。
「待たせたな。ちょっと準備に手間取っちまった。しかし、さすが曲がりなりにも穢れた勇者召喚で呼び寄せた人族だ。ここまで苦労するとは思わなかったぜ」
俺は聖エリス神国に侵入し、教皇を操って勇者召喚の儀式を行わせた。
ただし、召喚時の条件を『清き魂を持つ者』ではなく、『穢れた魂を持つ者』に書き換え、俺に逆らえないように傀儡の呪詛を召喚と同時に施した。
だと言うのに、召喚した穢れた勇者のうちの一人が俺に逆らいやがった。
「バラムさま。先程は大変失礼いたしました」
しかし、その問題も解決した。
先にあげた『愚者の嘆き』で傀儡の呪詛の効果を何倍にも高めたのだ。
さっきまで俺に罵声を浴びせて来た生意気な餓鬼は、鎖で縛られながらも俺にそう言ってこうべを垂れた。
「貴公にしては随分と梃子摺ったものだな」
そんな俺に声をかけてくる奴がいた。
最初のコメントを投稿しよう!