【第13話:カリンちゃんの葛藤 その1】

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【第13話:カリンちゃんの葛藤 その1】

 ~陰謀のバラム視点~  男女5人の人族が虚ろな瞳でこちらを見ている。  俺は昔、『技巧のアモン』からくすねた伝説級魔道具『愚者の嘆き』を使って、呪詛の効果をさらに数倍に高める。 「待たせたな。ちょっと準備に手間取っちまった。しかし、さすが曲がりなりにも穢れた勇者召喚で呼び寄せた人族だ。ここまで苦労するとは思わなかったぜ」  俺は聖エリス神国に侵入し、教皇を操って勇者召喚の儀式を行わせた。  ただし、召喚時の条件を『清き魂を持つ者』ではなく、『穢れた魂を持つ者』に書き換え、俺に逆らえないように傀儡の呪詛を召喚と同時に施した。  だと言うのに、召喚した穢れた勇者のうちの一人が俺に逆らいやがった。 「バラムさま。先程は大変失礼いたしました」  しかし、その問題も解決した。  先にあげた『愚者の嘆き』で傀儡の呪詛の効果を何倍にも高めたのだ。  さっきまで俺に罵声を浴びせて来た生意気な餓鬼は、鎖で縛られながらも俺にそう言ってこうべを垂れた。 「貴公にしては随分と梃子摺ったものだな」  そんな俺に声をかけてくる奴がいた。     
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