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【第17話:もうはじまっちゃってますよ】
キンドリー隊長との話の後、オレ達はすぐに街へ入る事を許された。
「く、くれぐれも問題など起こさないようにお願いしますね?」
衛兵の小隊長らしき男が不安そうにそう言ってくるのだが、ジルがいないのでたぶん大丈夫のはずだ。
大丈夫だよね……?
「大丈夫さ……たぶん」
たぶんは小声で答えてから、オレ達はようやくデリスの街に足を踏み出したのだった。
~
テリハイム共和国の首都デリスの街並みは、少し雑然としており、何だか前世の都市部を思い出させた。
ほとんどの家が石造りだが、その大きさも高さも意匠もまちまちで、個性豊かなつくりをしている。
魔道具を中心とした商業の街だけあり、魔道具と思われる街灯が等間隔で設置されており、今から少し夜の街並みが楽しみだ。
「コウガ様~。この街の特産品って何なんですか? 後でちょっと食べてみたいです!」
きっとさっき前を通った店から美味しそうな匂いがしてきたからだろう。
リルラが鼻をすんすんさせながらおねだりしてくる。
うん。可愛いから後と言わず今買ってしまおう。
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