【第21話:餓狼と鉄塊】

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【第21話:餓狼と鉄塊】

 半日だけの余暇を楽しんだオレ達は、翌日、ギルドに紹介されて泊まった宿屋『星蓮の輝き亭』1階の食堂で少し遅めの朝食をとっていた。  すると、突然扉を勢いよく開けて入ってきた者たちが現れる。 「邪魔するぞ~! ここにコウガとかいう奴はいるか?」  振り向くと、そこには冒険者風の男たちが食堂をぐるりと見まわしていた。  その中でもひときわ大きな男がオレと目が合うと、 「お? お前がコウガだな?」  と言って、近づいてくる。 「あぁ。オレがコウガだけどお前たちは?」 「俺たちはこの街の傭兵ギルド所属の『餓狼』傭兵団のものだ」  そう言った男たちをよく見てみると、装備こそバラバラだがそれぞれの装備のどこかに、狼のシルエットのような焼き印がされている。 「なるほど。それでその傭兵団の人たちが、オレたちみたいな冒険者に何の用かな?」 そう言って少し警戒したからだろうか。その男は両手を軽く上げておどけてみせる。 「おっと。そう怖い顔するなよ? 俺たちはこの街の領主であるメレンジ様にお前たちを連れてくるように言われただけなんだ。S級冒険者パーティーに喧嘩なんて売らないさ」     
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