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襖を開け、中に入ると大部屋にいくつかテーブルがあり同級生が各々好きなテーブルで昔話に花を咲かせていた。
俺達が靴を脱ぎ畳に上がると「お! こっち、こっち」とお呼びがかかる、呼ばれた方を見ると、同じ部活だった同級生が集まっていた。内心見つかってしまった、と呟きながらそのテーブルに向かった。
彼女とのことを、根掘り葉掘り聞かれるんだろうと気が重くなる。彼女と俺の座るスペースを開けてもらい、俺が座り、彼女は左隣に座った。
「来た、来た、元部活のマネージャーとそれを落とした部員」俺は飲み物を頼みながら苦笑いする。「しかも、今は同棲してるんだって? 詳しく話せよ」俺は、言いふらした奴を睨み付けるが、そいつはにやけるだけだった。
俺は、仕事がお互い順調で同棲したことや、話したくもないのろけを、嫌と言うほど、にやけた同級生に話した、まるで、拷問だ。
同級生は一通り聞き終えると満足したのか、学生時代の話に移った。
やっと話が終わったか、と思ったのも束の間、「でも、お前、昔から何か、モテるよな」終わったと思ったらまた、矛先がこちらに向くのか、しかもその話もあまりしたくはない。
「ほら、部活にもう一人いたマネージャー、あの子も一時期お前のこと好きだっただろ?」
「あ、俺バイトも一緒だったけど、バイトでも一人いたな」
「思い出した、お前、幼なじみと仲良くてその幼なじみがお前を好きって噂も流れたことあっただろ!」
こいつら、彼女のいる前でそんな話をするなんて、頭イカれてるのか……
その言葉を飲み込み、歯を噛みしめ平静を装って笑う
「でも、いつの間にかマネージャーも辞めてたんだよな」
「そういえば、バイトの子も辞めたな」
「あれ?幼なじみとも口聞かなくなったよな」
俺は向けられる視線に耐えきれず顔を背けて言った。
「さあ、何でだろな、」
彼女はただ、微笑んでるだけだった。
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