あなたの旦那様、お返しします。

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回想に耽っていると、満子は言った。 「本当に、いやらしい女ね。乳首を噛まれた余韻に浸ったり、思い出とか大切にしたりして……。めんどくさい粘着女ね。私も負けなのかもね。そこまで思い詰めるほど執着もないわ。カミカミ男爵の女遊びに呆れてるから。むしろ愛想が尽きたわ。このフォトブック的な御朱印帳、気に入ったなら、貴女にあげるわ。私が持ってても仕方ないしね。私からのホワイトデーのプレゼントよ」 満子は笑っていた。 これぞ、プライド高い妻の座というものだろう。 愛人よりも上の立場を維持しなければならない。 時には許し、友達施しを与える事により、地位を下げずにいられるのだ。
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